大阪の中古マンション市場は調整局面に入りました。大阪府の在庫は9月に1万2,000件を超え、当サイトのデータで遡れる2019年秋以降で最も多くなっています。売り物が増え、成約の件数は減り始めました。ただ、いまのところ調整が出ているのは件数です。成約の価格はまだ下がっておらず、棟ごとに見ると、いまがいちばん高い棟もいくつもあります。
売り物が増え、成約が減った
在庫は2021年の夏にいちばん少なくなり、そこから増えて、2024年からは1万1,000件前後で横ばいでした。今年の6月からは毎月増えています。
半年ごとに並べると、在庫が増えた理由が分かります。2026年後期は、売りに出る数が4つの時期でいちばん多く、成約する数はいちばん少なくなりました。
| 2025年前期 | 2025年後期 | 2026年前期 | 2026年後期 | |
|---|---|---|---|---|
| 新しく売りに出た数(月平均) | 3,292件 | 3,111件 | 3,280件 | 3,452件 |
| 成約した数(月平均) | 955件 | 878件 | 898件 | 769件 |
| 期末の在庫 | 10,922件 | 10,784件 | 11,251件 | 12,078件 |
前期は1〜6月、後期は7〜12月です。2026年後期は7〜9月の3か月分で、この記事の表はすべて同じ区切りにしています。
売出の単価だけが上がっている
在庫の坪単価はこの1年で3割近く上がりました。成約の坪単価は横ばいから、やや下がっています。
2023年の後半から2024年にかけては、成約の線が在庫の線より上にあります。売れた物件が、売れ残っている物件より高かったわけではありません。この時期は成約した物件の築年数が平均25年で、在庫の28〜29年より新しく、築浅の高い物件から先に売れていました。いまは成約と在庫の築年数がほぼ同じです。それでも在庫が成約を4割上回っています。
在庫の広さと築年数の平均は、この1年ほとんど変わっていません。似た広さ、似た築年の売り物に、1年前より高い値段が付いていることになります。高い値付けの売り物ほど売れずに残るので、在庫の単価は上がり続けるわけです。
成約の件数は減りましたが、成約の単価ははっきりとは下がっていません。調整はまず件数に出ています。価格に及ぶかどうかは、これから数か月の成約で分かります。
それでも成約が上がっている棟
府全体の平均では成約の単価は動いていませんが、棟ごとに見ると様子が違いました。当サイトで追っている棟のうち、4つの時期すべてに成約がある30棟を比べると、12棟は2026年後期の成約がいちばん高い水準でした。
| マンション | 市区 | 竣工 | 2025年前期 | 2025年後期 | 2026年前期 | 2026年後期 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ジオタワー天六 | 北区 | 2013年 | 340万円台 | 350万円台 | 430万円台 | 460万円台 |
| ブランズタワー御堂筋本町 | 中央区 | 2017年 | 460万円台 | 480万円台 | 550万円台 | 600万円台 |
| グランドメゾン上町台レジデンスタワー | 中央区 | 2020年 | 410万円台 | 450万円台 | 470万円台 | 480万円台 |
| シティタワー大阪天満 THE RIVER & PARKS | 北区 | 2010年 | 330万円台 | 350万円台 | 370万円台 | 390万円台 |
| シエリアタワーなんば | 中央区 | 2020年 | 240万円台 | 240万円台 | 260万円台 | 260万円台 |
| プラウドタワー北浜 | 中央区 | 2019年 | 540万円台 | 480万円台 | 580万円台 | 650万円台 |
| シティタワー大阪福島 | 福島区 | 2009年 | 320万円台 | 360万円台 | 350万円台 | 380万円台 |
| シティタワー梅田東 | 北区 | 2016年 | 440万円台 | 480万円台 | 440万円台 | 500万円台 |
| ロイヤルメドゥ香里園タワー | 寝屋川市 | 2007年 | 180万円台 | 170万円台 | 190万円台 | 210万円台 |
| 北浜ミッドタワー | 中央区 | 2019年 | 650万円台 | 680万円台 | 620万円台 | 740万円台 |
| プラウドタワー堺東 | 堺市堺区 | 2021年 | 310万円台 | 290万円台 | 320万円台 | 350万円台 |
| シティタワー天王寺真田山 | 天王寺区 | 2012年 | 320万円台 | 350万円台 | 320万円台 | 360万円台 |
上の4棟は、4つの時期を通して一度も下がらずに上がりました。都心のタワーが中心ですが、寝屋川と堺の棟も入っています。竣工は2007年から2021年まで幅があります。
残りの棟は、今年の前期までで止まった
30棟のうち16棟は、2026年後期の成約が、それまでのいちばん高い時期を下回りました。多くは2025年後期か2026年前期がいちばん高く、そこから下がっています。同じ都心のタワーでも、上がり続けている棟と止まった棟に分かれました。
上がっているのは、どんな棟か
上がった12棟と下がった16棟を比べると、立地の差はありません。どちらも8割が大阪市の都心6区にあります。違っていたのは価格帯と規模でした。
| 上がった12棟 | 下がった16棟 | |
|---|---|---|
| 2025年前期の成約坪単価 | 340万円台 | 420万円台 |
| 総戸数 | 約310戸 | 約550戸 |
| 階数 | 38階 | 45階 |
| 竣工 | 2016年 | 2018〜2019年 |
数字はそれぞれの中央値です。下がった側には、梅田、中之島、本町の500戸を超える新しいタワーが並んでいます。上がった側は、それより一回り小さく、坪単価が2割ほど低い棟でした。
棟の数を増やして確かめます。当サイトの棟ページには、直近1年半の成約から判定した価格トレンドを出しています。判定のある209棟を竣工年で分けました。
| 竣工 | 棟数 | 上昇 | 横ばい | 下降 |
|---|---|---|---|---|
| 2004年以前 | 28棟 | 50% | 18% | 32% |
| 2005〜2014年 | 83棟 | 54% | 24% | 22% |
| 2015〜2019年 | 53棟 | 57% | 23% | 21% |
| 2020年以降 | 45棟 | 18% | 40% | 42% |
2019年までに建った棟は、半分以上が上昇です。2020年以降の棟だけ上昇が2割を切り、下降が4割を超えました。階数や駅からの距離で分けても、これほどの差は出ません。
築浅の大型タワーは先に大きく値上がりし、坪500万円台から600万円台に届きました。この価格帯で買える人は限られます。同じエリアで探す買い手は、2005年から2019年に建った坪300万円台から400万円台の棟に移っていて、その棟の成約が遅れて上がっています。都心の全体が弱いわけではありません。都心の中で、高い棟から先に止まっています。
2020年以降の棟は中古の成約が始まって間もないので、分譲直後に付いた高値からの下げも混ざっています。
棟ごとの成約を見てから動く
これから売る人にとって、在庫の平均価格は参考になりません。並んでいる売り物の多くは、まだ売れていない値段だからです。値付けの基準にするのは自分の棟の成約の水準です。各棟のページの成約タブと簡易査定で確かめられます。
買う人は、検討している棟の成約が上がっているのか、止まっているのかを先に見てください。成約が上がり続けている棟の売主は、値段を下げる理由がありません。成約が止まっていて在庫が積み上がっている棟なら、売出価格と成約の水準の差が交渉の余地です。指値の入れ方は買い手市場の指値戦略に書きました。
9月の在庫は、直近1年の成約のおよそ14か月分にあたります。
集計について
在庫と成約の件数、坪単価のグラフは大阪府全体の中古マンションが対象で、成約の坪単価は3か月の平均でならしています。棟ごとの表は当サイトのデータによる成約坪単価の中央値で、10万円刻みの水準で示しました。成約の少ない棟と、前の時期から3割以上動いた棟は外しています。2026年後期は3か月分で成約も少ないので、目安として見てください。