粗がまったく無い新築はない

これまで約140件の内覧会・検査に立ち会ってきて、傷や汚れ、わずかな粗がまったく無い新築は一度もありませんでした。人の手でつくる以上、避けられないものです。見極めるべきは、それが直すべき不良なのか、施工上どうしても出る許容範囲のものなのかです。

マンションの内覧会でよく見つかる粗

  • クロスの浮き・入隅の切れ:下地の乾燥収縮によるもので、最も多い指摘です。軽微なら補修で直ります
  • 床鳴り・わずかな不陸(床の凹凸):歩くときしむ。床下地(二重床の支持脚や下地ボードなど)が原因のことが多く、程度により手直しします
  • 建具の当たり・傾き:ドアや引戸がこすれる、閉まりきらない。調整で直ることが多いです
  • コーキング(シーリング)の仕上げムラ:水回りやサッシまわり。防水に関わる部分は要チェックです
  • コンセント・スイッチプレートの傾き:下地施工の丁寧さが表れる部分です。直すのは簡単です
  • 建具・枠の小傷、フローリングの当て傷:運搬や施工中についたもの。気になれば指摘して構いません
  • クロスやボードの継ぎ目の段差:光の当たり方で目立ちます。どこまで直すかは程度で判断します

許容範囲をどう考えるか

施工には公差(許容誤差)があります。すべての箇所にミリ単位の精度を求めることは現実の施工ではできず、指摘しても直しようがないものもあります。内覧会で必要なのは、どこまでが仕方ない範囲かを判断することです。これは施工現場と是正工事の実際を知っていないと難しい判断です。

指摘の数が多いこと自体は、検査の質を示すものではありません。細かすぎる指摘は施工会社との関係を悪くし、直らないものへの不安を増やすだけです。検査する側の仕事は、直すべきものと気にしなくていいものを仕分けることです。

気になった傷は指摘してよい

一方で、買主が気になった傷や汚れは、遠慮なく指摘して構いません。どこまで許容できるかは人によって差が大きく、専門家が仕方ないと判断する線と、買主が気になる線は一致しません。両方を踏まえて整理するのが良い内覧会です。

引渡し前に直しておくべきもの

内覧会の価値は、引渡し後だと直しにくいものを引渡し前に洗い出すことにあります。特に防水、水回り、建具の作動、下地が原因の不陸は、後から気づくと手直しが大がかりになります。反対に、暮らし始めれば気にならない細かな粗に時間をかけすぎるのはもったいないことです。

この仕分けを一人でやるのは難しいものです。判断に迷いたくない方は、専門家と一緒に回る方法もあります。

※内覧・内覧会に一級建築士が同行する 内覧同行 も承っています。