元大手ゼネコンの施工管理・ホームインスペクション100件超の立場から、 マンションの内覧でプロが見ている視点を公開するシリーズです。 第8回は、リフォーム(リノベ)前提で中古を買う人が、内覧で必ず見るべき 「変えられる/変えられない」の境界について。
「きれいにできる」には限界がある
中古を買ってリノベするなら、どこまで間取りや水回りを動かせるかが価格判断を左右します。 内装はいくらでも変えられますが、構造・配管・排水には物理的な制約があり、 ここを内覧で見誤ると「思った間取りにできない/追加費用が膨らむ」ことになります。
変えにくい/変えられないもの
- 構造の壁・柱・梁:とくに壁式構造は、抜けない耐力壁が多く間取り変更に制約。
ラーメン構造(柱・梁)は比較的自由度が高い。どちらの構造かを必ず確認
- PS(パイプスペース)の位置:排水の"縦管"がある場所。基本動かせない
- 排水の勾配:水回りの移動は、排水が流れる勾配が取れる範囲に限られる。
キッチン・浴室を遠くへ動かすほど、床上げが必要になり天井高を圧迫することも
- 玄関・窓・バルコニー(共用部扱い):サッシや玄関ドアは共用部で、勝手に変えられない
変えやすいもの
- 内装(床・壁・天井の仕上げ)、間仕切り(非耐力壁)、水回り設備の入れ替え、収納
内覧で見るポイント
- 構造種別(壁式/ラーメン):パンフレット・重要事項・管理会社資料で確認
- PSと水回りの位置関係:動かしたい水回りが、排水縦管からどれだけ離れるか
- 床の構造(二重床/直床):二重床は配管の取り回し・更新がしやすく、リノベ自由度が高い。
直床は水回り移動に制約が出やすい(専門知識シリーズの二重床/直床の記事参照)
- 天井の構造(二重天井/直天井):配線・ダウンライトの自由度に関わる
- 管理規約のリフォーム制限:床材の遮音等級指定、工事の届出・時間帯など
「安く見える中古」の落とし穴
リノベ前提だと、物件価格が安く見えても、構造・配管の制約で希望のリノベができない/ 費用がかさむケースがあります。「総額(物件+リノベ)」で見て初めて、本当の割安かどうかが分かります。
内覧の段階で、どこまで変えられるかの当たりをつけておくと、リノベ計画の失敗を防げます。 ここは構造と設備の両方が分かっていないと判断しづらい領域です。
リノベ前提での物件選びは、内覧で構造・配管まで見られるプロと回ると安心です。
※中古の内覧に一級建築士が同行する 内覧同行 を承っています。