元大手ゼネコンの施工管理・ホームインスペクション100件超の立場から、 マンションの内覧でプロが見ている視点を公開するシリーズです。 第4回は、プロが内覧会に持っていく道具と、それで初めて分かることについて。
目視とスマホだけでは限界がある
内覧会をスマホの写真だけで済ませる方は多いですが、 傾き・浮き・下地・水平といった"見た目では分かりにくい"項目は、 道具がないと判断できません。プロが使う道具を知っておくと、 自分でどこまで見られて、どこからが難しいかが分かります。
プロが持っていく主な道具
- 打診棒(だしんぼう):タイルやクロス面を軽く叩き、音の違いで浮き・剥離を探る。
共用部のタイルや、壁の下地の浮きは、叩かないと分かりません
- レーザー(墨出し器):床や建具枠の傾き・不陸を数値で測定。目視の「なんとなく傾いてる?」を裏取り
- コンベックス(メジャー):天井高・開口・段差の実測。図面と実物の照合
- 懐中電灯:斜めから光を当てると、クロスの浮きや壁の不陸、床の傷が浮かび上がる
- コンセントチェッカー:結線の正誤・極性の確認
- メモ・マスキングテープ・カメラ:指摘箇所に印を付け、記録を残す
道具があって初めて分かること
- 壁・天井の下地の浮き(打診しないと表面からは分からない)
- 床・枠のわずかな傾き(レーザーで数値化して初めて"許容内か"を判断できる)
- 斜め光でしか見えないクロスの浮き・段差・当て傷
- 共用部タイルの浮き(将来の落下・剥離リスク)
逆に言えば、これらは道具と経験がないと拾えないということです。
ただし「道具の多さ」より「判断」
誤解しないでほしいのは、道具はあくまで手段だということ。 大量に計測して粗を並べることが目的ではありません。 数値や打診音を見て、それが"直すべき不良"か"施工上の許容範囲"かを言い切れる—— そこにこそ、施工経験を持つプロの価値があります。
自分でやるなら、最低限これだけ
全部そろえるのは大変なので、自分で行くなら 懐中電灯(斜め光)・メジャー・スマホの水平器アプリ・マスキングテープがあるだけでも だいぶ違います。それでも下地の浮きや微妙な水平は難しい——というのが正直なところです。
そこまで自分で見るのは大変、判断にも自信がない、という方は、 道具と経験を持つプロと一緒に回るのが確実です。
※内覧・内覧会に一級建築士が同行する 内覧同行 も承っています。