元大手ゼネコンの施工管理・ホームインスペクション100件超の立場から、 マンションの内覧でプロが見ている視点を公開するシリーズです。 第6回は看板テーマ。中古マンションの内覧の限られた時間で、プロが実際に見ている場所を、 専有部・共用部に分けて公開します。

※これは住宅診断(インスペクション)ではなく、購入判断のための"見方"の解説です。 当方の中古内覧同行も、診断書を発行するものではなく専門家の助言としてのご案内です。

内覧は「粗探し」ではなく「判断材料集め」

中古内覧で大事なのは、傷の一つひとつを咎めることではありません。 この価格・この状態で妥当か、リフォームでどこまで良くなるか、 将来お金がかかる要素はないか——買うかどうかの判断材料を集める場です。

専有部で見る場所

  • 床の傾き・不陸:歩いて、レーザーで測定。建物のクセや、床下地の状態が出る
  • 窓・サッシまわり・北側の壁:結露・カビ・雨染みの痕。断熱・漏水のヒント
  • 水回り(キッチン・浴室・洗面・トイレ):排水の流れ、コーキングの劣化、

給排水の状態。水回りは更新にお金がかかる部位なので重点的に

  • 建具の開閉:当たり・傾き。躯体の動きやリフォーム履歴が読める
  • 天井・壁の染み:上階や配管からの漏水痕の可能性
  • リフォーム済みか、いつ・どこまで:見た目のきれいさに惑わされず、"どこを更新したか"

共用部・建物全体で見る場所

専有部より、建物・管理の状態のほうが将来の資産価値と修繕負担に効きます。

  • 外壁・タイル・シーリング:ひび、タイルの浮き、シーリングの劣化(打診・目視)
  • 鉄部(手すり・PS扉等)の錆廊下・階段の防水エントランス・掲示板の管理感
  • 駐輪場・ゴミ置き場の乱れ具合:管理の質は、こういう"生活動線"に出ます
  • エレベーター・機械式駐車場:更新時期が近いと、将来の一時金・積立増のリスク

書類で見る場所

内覧と合わせて、長期修繕計画・修繕積立金の額と残高・大規模修繕の履歴・ 管理規約・総会議事録・重要事項調査報告書を確認。 建物の"健康診断書"は、実は書類の中にあります。

プロが30分で見ているのは「お金の行方」

まとめると、プロは内覧の30分で 「この物件は、今後どこにお金がかかるか」を読み取っています。 水回り更新、外壁・防水の大規模修繕、設備の更新——見た目のきれいさの裏にある 将来コストの当たり/外れを見極めるのが、価格判断の核心です。

これを一人で、限られた内覧時間でやるのは大変です。 判断材料を客観的に整理したい方は、プロと一緒に回るのが確実です。

※中古の内覧に一級建築士が同行する 内覧同行 を承っています (住宅診断ではなく、購入判断のための専門家の助言です)。